コーチングとは
コーチングとは
仕事で失敗をしてしまった部下に対して、上司が質問しています。
上司A
「なんでこんな失敗したんだ?」
上司B
「この場合はどうすればうまくできたと思う?」
上司AとBでは、言われた部下の気持ちや表情、また、その後の発言や行動が、異なることは十分に想像できます。
このように、人の成長には、質問によるコミュニケーションが深く関わっています。
この原理を応用し、心理学や脳科学などの科学的な根拠に基づいて
体系化されたのが『コーチング』です。
『コーチ』の語源は『馬車』からきています。
つまり『大切な人を目的地まで送り届ける役割を担うもの』ということから、
目標達成に向かう人、成長しようとしている人をサポートする人のことを
『コーチ』と呼ぶようになりました。
日本ではコーチは『技術を教える人』というイメージでとらえられがちですが、
本来はその人の持つ能力を発見し、可能性を最大限に引き出す人がコーチです。
そして、そのコーチが行うプロセス全体のことをコーチングと呼びます。
まとめると、次のようになります。
『コーチング』とは、質問を中心とした対話を通して、クライアント(コーチングを受ける人)が目標達成に必要なスキルや知識、考え方を備え、行動することを支援するプロセス全体のことである。
コーチングのイメージ
ゴールまでの全体像
コーチングの流れは大まかに言うと次のようになります。
はじめに『理想の状態・望む姿』を明確にします。
これがないと進む方向が分からないので、コーチングにはなりません。
これは山に登るのに、どの山を登るのか決めていないようなものです。
ですから、どの山に登るのかについては、あらゆるコーチングスキルを使って
じっくり対話を行った上で、みなさんに決定していただきます。
次に、望む姿と現在との『ギャップ』に焦点をあて、それを埋めるための課題を考えます。
富士山に登るのにスリッパしか持っていなかったら登山靴を用意するのが課題になります。
その後、課題をクリアする行動計画や進捗を確認するための目安(目標)を設定します。
体力をつけるために毎日1kmのウォーキングを計画したり、いついつまでに登山セットをそろえる計画を立てたります。
もちろん、登山に向けて健康チェックや登山の打ち合わせをしなければなりませんから、定期的にお会いして状況を確認し合う必要があります。
これが、コーチングセッションになります。
セッション(対話)の流れ
コーチングセッションの基本的な流れは次のようになります。
①コーチはクライアント様の話を100%お聴きし質問を投げかけます。
②クライアント様は質問の答を考えます。
③クライアント様は考えた内容を話します。
④コーチが承認したりフィードバックしたりしながら話をお聴きします。
⑤クライアント様はご自分で話す内容を聞くことで、新たな気づきが生まれます。
セッションの一場面
具体例を見ていきましょう。もちろん、実際はもっとたくさんのやりとりをしていますが、分かりやすくするために簡潔に表現しています。
クライアント様はある企業で課長を務めるAさん。
『部下との関係を改善したい』というテーマでのセッションです。
A「最近の部下は論理的に話ができなくて困るんです。」
私「具体的にはどんなことでお困りになるんですか?」
A「そうですね…、ビジネスの場ではロジカルに話すのは当然でしょう!」
私「当然だと思っていらっしゃる理由はどこからきてますか?」
A「私も入社した頃先輩にしつこく言われましたから…」
私「論理的に話さない部下は、Aさんにはどのような人に映るのですか?」
A「仕事ができない人ですかね…。」
このやりとりだけでも、次のような情報が顕在化します。
- 具体的に困っていることがすぐに出てこないこと。
- ビジネスではロジカルに話すことが当然だという信念。
- 先輩の考えであって自分の考えではないのかもしれないこと。
- 『論理的に話さない人=仕事ができない人』というレッテル。
このような気づきの連鎖を、『オートクライン』といいます。
Aさんは私に話しているようで、実は自分自身にも話をしています。
人は会話の中で、自分の内側の情報をアウトプットすることで、はじめてその情報を正確に認識することができます。
コミュニケーションを通して、言語化し、アウトプットし、自分の考えを認識し、そして気づきを得ていく。これが、オートクラインです。
さらにこの後、セッションは次のように続きます。
私「お話をお聞きしていると、論理的じゃない人は苦手のようですね?」
A「そうですね、苦手だと思います。」
私「話が論理的じゃないけど、苦手じゃない人とかいらっしゃいませんか?」
A「…いや、いないと思います。」
私「ところで、確かAさんには小学生の息子さんがいらっしゃいましたよね?」
A「はい…。ああ、彼は論理的ではありませんね笑。」
私「やっぱり苦手ですか?」
A「さすがに、そんなことはないですね笑。」
私「息子さんの話を聞くときは、どのように聴いていらっしゃいますか?」
この後、Aさんは子どもと向き合うときに自然とやっている行動を客観的に振り返り言語化していきます。その結果、部下や人とのコミュニケーションの際に、これまでとは違う選択肢を意識できるようになりました。
このように、普段自分では意識しない質問の投げかけによって、クライアント様がオートクラインを繰り返し、新たな気づきを得て行動の選択肢を増やしていく。
この繰り返しがセッションの基本構造になります。
参考文献:鈴木義幸「コーチングの基本」「セルフ・トーク・マネジメントのすすめ」
コーチングの現状
米国ではCEOにコーチが常時2、3人つく事は一般的です。
ビル・ゲイツが6人のコーチを雇っていたことはよく知られた話です。また、性別や年齢もさまざまであることも本人が語っています。これは、いろいろな視点からコーチングをしてもらうこと(質問を投げかけてもらうこと)で、彼の潜在能力を最大限に引き出してもらうという狙いがあると考えられます。
一方、日本では、1999年、フランス・ルノーから日産自動車にやって来たカルロス・ゴーン氏がコーチングを全面的に導入し、社員のモチベーションを高めるとともに会社の潜在能力を掘り起こした結果、史上最大の赤字からわずか1年で、過去最高益を更新し、奇跡のV字回復を成し遂げたことは有名な話です。
そんな日産のケースを学び、活用したいと、国内でもコーチングを導入する企業が増えました。今では上場企業の9割近くが、何からの形でコーチングスキルを導入しています。
また、アスリートや経営者がコーチをつけるのはすでに一般的ですが、
近年の特徴として、会社員や公務員、主婦の方など、さまざまな業種・職種の方が、気軽にコーチングを受けるようになりました。
これは、コーチングがクライアント様の可能性を最大化させることができるため、
『どのような方でも明らかな変化が現れる』
ことが多くの方に認識されるようになったからです。
コーチングは
『人生そのものを豊かにするプロセス』
です。そして、そのパワーはあなたの想像を絶する可能性があります。
素晴らしい成功セミナーを何十万円かけて受けて、
ベストセラーになっている成功本、ビジネス書を何百冊読んで、
一人でがむしゃらに成功への道を進んでも、いっこうにたどり着けない。
なぜでしょうか?
理由は単純です。
『成功した人は、一人で成功したわけではないから!』
です。実は、成功したほとんどの人に、ともに成功を目指した『誰か』がいます。
そのことにはほとんど触れずに、成功者は異口同音に「思考は現実化する!」といったフレーズを繰り返します。そもそもその人たちは成功しているので、成功したいという思考が現実化していて当たり前です。
むしろ、思考を言語化し、他者とのコミュニケーションによって気づきを繰り返し、望み通りの現実を手に入れていった、というプロセスの方が大切です。
もうおわかりの通り、ここで言う『誰か』が、まぎれもなくコーチになります。そして現実化へ向けての推進力となるもの、それがコーチングです。
人生を豊かにするプロセスをお知りになりたい方、どうぞお問い合わせください。
コーチングを受ける条件
コーチングはいつでも、どなたでも受けることができます。ですから、特別な条件はありません。
ただ、望み通りの自分を生きるためにコーチングが機能しやすい心構えがあるのは事実です。いち早く「なりたい自分」になる方々に共通するあり方、それはたったの二つです…
ご自身を信じること
素直になれること
人が潜在能力をもっとも発揮する時期は、幼少時代です。
言語を覚えたり、身体能力が著しく向上したり…
潜在能力を開花させるポイントはこの幼少期の脳の状態です。
これを、大人のコトバであえて述べると、上の二つになります。
コーチングによる学びが一層深まる条件はこの二つだけです。